こんにちは!Yokoito Additive Manufacturing(YAM)広報です。
YAMでは、3Dプリンタや関連する技術の研究をする「テクニカルリサーチ」という活動を行っています。日々の業務の中で浮かんだちょっとした疑問や問題を実験・検証し、得た知見をプリントサービスなどへ還元しています。
今回は粉末焼結方式の3Dプリンタで、水に浮かぶアヒルを作れるのか実験した内容をレポートします。
▼前回の記事はこちら
設計
粉末焼結方式は、粉末状の材料を造形エリアに敷き詰め、一層ずつレーザーで焼き固めるような造形方式です。造形物が無いエリアもパウダーが充填されるため、サポートやラフトが不要で、材料の無駄が少ない特徴があります。
▼造形方式の詳しい説明はこちら
まず、水に浮かぶように中が空洞のモデルを作成します。光造形方式と同様に、中空のモデルを造形する際は、未焼結のパウダーを取り除く排出口を設ける必要があります。光造形用に作成したモデルがあるので、こちらで造形してみます。
▲下にスリットが入ったアヒルと閉じたアヒルのモデル
内部にパウダーを残してみる
また、未焼結のパウダーは密度が低いため、内部に残っていても浮くはず。という意見をいただいたので、試しに排出口なしのモデルも作ってみます。
材料比較
▲左PA12(Nylon 12)、右TPU(TPU 90A)
今回はFormlabs Fuse 1とFuse 1+を使用して、PA12(Nylon 12)とTPU(TPU 90A)の2種類の材料で出力しました。
見た目を比較すると、石っぽい質感がPA12(Nylon 12)、毛っぽい質感がTPU(TPU 90A)です。
スリット部分を比べてみると、TPU(TPU 90A)は完全に塞がっていて排出口として機能しません。PA12(Nylon 12)は問題なく造形できていますが、この隙間からパウダーを取り出すのがかなり面倒だったので、排出口の設計は変更した方が良さそうです。
TPU(TPU 90A)で作成したものは内部にパウダーが残っていても押し潰せるほど柔らかいので、密度の違いを実感できます。
浮かべてみる
それでは実際に浮かぶのか検証します。まずはスリット入りのPA12(Nylon 12)アヒルから。
浮きました。姿勢も問題なく、ぷかぷかと浮かんでいます。
次はスリットがないタイプのアヒルたちです。
浮きました。浮いてはいるのですが、パウダーが残っているため重心が変わり、横転してしまいました。
まとめ
今回、粉末焼結方式の3Dプリンタで作成したアヒルは中空形状を設けることで水に浮かぶことが検証できました。
次回はアヒルが溺れないように、排出口の設計を工夫したり、後処理で防水仕様にできるのかなど引き続き実験していきます。
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