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【事例紹介】デジタルファブリケーションで広がるアートの可能性、先駆植物を樹脂の積層で表現する|水木 塁様


 

水木 塁 プロフィール

1983年生まれ。 京都市立芸術大学美術学部工芸科漆工専攻卒業、同大学美術研究科メディア・アート領域博士号取得。 現代都市におけるリアリズムを基にした風景・情景・身体・モノの絡まり合いをテーマとした作品制作を行う。

 


「もともとは建築家志望」 アーティストとして活躍するに至るまで


 「幼少期から絵を描いたり物を作ったりすることが好きで、建築士である叔父の影響もあり、最初は建築家を目指していた。小学校の卒業文集にも建築家になると書いていた。」

その後、高校でデザインやインテリアに興味を持ち、大学では工芸科に進学。大学時代には軽音楽部に所属し、DJとして活躍しながら音楽や美術専攻の仲間と多くの交流を持ち、自分のやりたいことを模索しながら制作に打ち込んだそうです。卒業後は、デザイン事務所で働きながら独学で美術を学び、アーティスト活動も並行しながら情熱を深めていったそうです。


 その上で「アーティストを志したのは、自分の考えや感じたことを表現できるから」と語ってくださいました。





3Dプリンター×アート 「デジタルカメラで撮影した写真のデータを使って半立体的な作品を作ろうと思ったのが始まり」


 3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタルファブリケーションを作品作りに取り入れたきっかけについて尋ねました。「データを出力するものが『紙』という概念がそもそも無い」と語る水木さんはデジタルファブリケーションのメディアとしての面白さを評価しています。実際にレーザーカッターや3Dプリンターを使用してしてみて細かいディテールや複雑な形状を実現するために欠かせないツールだとする一方で、制作過程ではうまくいかなかったことも多くあったと語ります。





アカメガシワを積層する


 水木さんの作品は、植物や自然の構造をモチーフにしており、それを表現するのに3Dプリントする際に造形物を支えるためにプリントされる「サポート材」が適していたと言います。どのようにモノが立つのかという彫刻的な視点でも評価をしており、「サポート材は資材が持っている歴史などの『源流』」とも表現されています。



 先駆植物であるアカメガシワをテーマにした作品は、人間と自然の関係を再考させられます。


 COVID-19発生後、自宅から出れない日々が続いた中で水木さんはベランダで過ごすことが増えたそうです。自由に動けない水木さんにとって都市と環境・自然との境界がベランダだったと言います。ベランダから雑草の成長を観察すると、人間の活動が無くなった都市に凄まじいスピードで成長する自然の強さに気付いたそうです。その中でも何も無いところで一番に活動を始める先駆植物に着目し、「都市環境における先駆植物の役割を通じて、自然と人間の関係の境界を彫刻したい」と述べました 。




YAMとの出会いと二度の依頼


 もともと大学内のウルトラファクトリーで3Dプリンターを使われていましたが、扱える樹脂の種類に限りがあったそうです。3Dプリンターに触れるうちに「3Dプリンターのプロと一緒に素材のことも学びながらやりたい」という想いが強くなり、知り合いの方に紹介されたのがYAMでした。


 実際に2度プロジェクトをおこない、「顔が見える関係性でできること」や「プロジェクトを進めていくなかで共通している美学を見つけたり、これを共有しやすい人がYAMに多いこと」を評価してくださっています。


 YAMの作品を担当したAM Specialistも水木さんと作品を作り上げる面白さを感じています。「コンテキストやコンセプトを分かった上での作品作りが面白い。対等な関係で一人のクリエイターとして作品に反映させていただけることにやりがいを感じる」





領域を横断したアートの発信へ


 水木さんは、現在もデジタルファブリケーション技術を活用し、さらなる作品の可能性を模索されています。来年には個展も控えており、その後はポーランドで展覧会に参加されるそうです。現在はレーザーカッターを用いた作品作りに励んでいらっしゃるとのことで、作品の発表が待ち遠しいですね。今後の活動にYAMとしても期待をしています。


 

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<本件に関するお問い合わせ>

平日 10:30-13:00・14:00-17:00




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